2015年12月25日金曜日

大学と民間等との共同研究制度の沿革(3)

 20151225日の記事「大学と民間等との共同研究制度の沿革(2)」の続きです。

1995(平成7)年制定の科学技術基本法に基づき、翌1996(平成8)年、科学技術基本計画(1)が制定されました。
1期科学技術基本計画中には、1998(平成10)年に研究交流促進法、大学等技術移転促進法(TLO(技術移転機関)の整備促進)が、1999(平成11)年に産業活力再生特別措置法(日本版バイ・ドール条項)が、2000(平成12)年に産業技術力強化法が、矢継ぎ早に制定されていきました。

米国では、1970年代後半の米国経済の国際競争力低下を背景として、1980年に、政府資金による研究開発から生じた発明についてその事業化の促進を図るため、政府資金による研究開発から生じた特許権等を民間企業等に帰属させることを骨子としたバイ・ドール法(特許法の一部改正法)が制定されました。これにより企業等による技術開発が加速され、新たなベンチャー企業が生まれるなど、米国産業が競争力を取り戻す契機となりました。

我が国は、米国バイ・ドール法を参考に、政府資金による委託研究開発から派生した特許権等を民間企業等に帰属させることで、政府資金による民間企業や大学での研究開発及びその実施化を活性化させ、これらを用いた新しい商品の生産・販売、新しい役務の提供、新しい生産方式等の導入、新たな事業分野の開拓につなげるための法整備を試みました。


日本版バイ・ドール条項は産業活力再生特別措置法第30条に盛り込まれ(20078月から産業技術力強化法へ移管)、政令において、研究活動の活性化と事業活動におけるその成果の効率的な活用の促進を図るという本条項の目的、及び、実際の国の委託研究において国に譲渡することとされている知的財産権の内容を踏まえ、受託者に帰属させ得る知的財産権として、特許権・特許を受ける権利(特許法)、実用新案権・実用新案登録を受ける権利(実用新案法)、意匠権・意匠登録を受ける権利(意匠法)、プログラムの著作物の著作権・データベースの著作物の著作権(著作権法)、回路配置利用権・回路配置利用権の設定の登録を受ける権利(半導体集積回路の回路配置に関する法律)、育成者権(種苗法)を明記するに至りました。

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