2015年12月30日水曜日

「人と動物の共生」と伴侶動物(1)

 動物の愛護及び管理に関する法律は、人と動物の共生する社会の実現を目的に掲げています。そこで、第1条と第2条について、今回から3回にわたり、簡略に解説してみたいと思います。

動物の愛護及び管理に関する法律第1条
(目的)
1  この法律は、動物の虐待及び遺棄の防止、動物の適正な取扱いその他動物の健康及び安全の保持等の動物の愛護に関する事項を定めて国民の間に動物を愛護する気風を招来し、生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資するとともに、動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害並びに生活環境の保全上の支障を防止し、もつて人と動物の共生する社会の実現を図ることを目的とする。


 動物の愛護及び管理に関する法律第1条の構造は次のようになっています。

この法律は、
「動物の虐待及び遺棄の防止、動物の適正な取扱いその他動物の健康及び安全の保持等の動物の愛護に関する事項を定めて国民の間に動物を愛護する気風を招来し、生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資する」(目的1
とともに、
「動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害並びに生活環境の保全上の支障を防止」(目的2
し、
もって
「人と動物の共生する社会の実現を図ること」
を目的とする。

 目的1は、人は、その自身の気持ちのまにまに、あるいは私利私欲のために動物を傷つけ、苦しめ、殺害したりすることなく、人の命が大切であるように、動物の命についてもその尊厳を守ってほしいという「情操の涵養」をうたっています。現在の我が国の国内では、自分のストレス解消のためそれだけで簡単に(しかし用意周到に計画して)人の命を奪ってしまう事件までも起きてきています。とても恐ろしいことです。

目的2は、動物によって人の生命、身体や財産に対する危害や損害を未然に防ぐために、動物の生理、習性などの動物の管理に関することがらを知る必要があることが示されています。
(次回に続きます。)

2015年12月28日月曜日

第一種動物取扱責任者研修申込から登録まで(3)

20151227日付け記事「第一種動物取扱責任者研修申込から開業登録まで(2)」の続きです。

週明けの1124()(前日は祝日)、「動物取扱責任者事前研修申込書」をFAXで送った翌日、1125()に、「動物取扱責任者事前研修について(ご案内)」の公文書が郵送されてきました。とても手際がよいと感じました。書類には、研修の流れ、研修当日に申請手続するときの確認事項などが書かれていました。研修修了時にテストを実施することも書かれています。時間がありませんが、再勉強することになりました。

 121()の午後、「動物取扱責任者事前研修」がありました。研修が始まる前に、受付で研修受付とともに申請書を提出します。研修を受けている間に、職員が申請書の審査をするという手順です。申請書に不備や修正が必要な個所が見つかった場合は、研修の合間の休憩時間に職員から丁寧に教えていただけます。研修は第一部が関係法令、第二部が感染症、です。講師は行政職員と専門職員(獣医師)です。第二部終了後にテストがあります。研修生が設問に取組み、そのあとで、職員から答え合わせと解説があります。このテストを終えると、「動物取扱責任者研修修了証」が交付され、事前に申請書を提出して、申請書を正式に受理された人には、「第一種動物取扱業登録証」に記載する登録日(効力を発する日)などについて職員と打合せを行い(登録証が送付されるのは、登録日から1週間前後であることも、このときに伝えられます。)、この日は終了です。

127()の夕方、東京都動物愛護相談センター業務係から登録番号についてのお知らせの電話がありました。
128()に、東京都動物愛護相談センター業務係から登録証を発送した旨のお知らせのFAXがありました。
129()に、「第一種動物取扱業登録証」が簡易書留で届きました。

 以上が、第一種動物取扱責任者研修申込から登録までの(わたくしの場合の)実例と、その解説です。手続き作業の開始から完了まで、2015(平成27)1119()から同年129()の間のできごとでした。
 実際に自ら手続きをして感じたことは、東京都動物愛護相談センター職員の皆さまがそれぞれ動物への深い愛情をお持ちであることが伝わってきたこと、そして、対応が丁寧で、かつとても迅速なことです。そして、このセンターの職員の皆さまは、動物取扱責任者となられる方々と直接接する機会(この研修のような)を大切にしているのではないかと強く感じました。人と動物との共通感染症については、愛するからこそお互いに(人と動物が)予防するのだ、という考え方、これは、研修を直接受けなければわからなかったことだと思います。東京都動物愛護相談センター職員の皆様にこの場を借りて謝意を記し、本稿を終わります。

2015年12月27日日曜日

第一種動物取扱責任者研修申込から登録まで(2)

20151226日付け記事「第一種動物取扱責任者研修申込から登録まで(1)」の続きです。

 まず、第一種動物取扱責任者事前研修の申込から始めます。東京都では、動物愛護相談センターに電話で申し込まなければなりません。そこで、20151119()に、東京都動物愛護相談センター業務係に動物取扱責任者事前研修申込について電話で問い合わせしました(以下「2015年」を省略します。)。電話では、東京都動物愛護相談センターのウェブサイトをじゅうぶん閲覧し、内容を承知しているか、申請する種別はどれか(販売、保管、貸出し、訓練、展示、のどれか、または複数の申請か)、動物取扱責任者事前研修を受講するための要件(該当事業所での6か月以上の実務経験者、愛玩動物飼養管理士などの有資格者など)を満たしているか、を質問されます。そのあとで、研修日の設定と、研修当日に申請書を提出するかどうか、申請に必要な書類、の話に移りました。一通りの話を終えて、これで申込が完了かと思われましたが、文書で申込むようにということで、文書の送付先を聞かれ、これに答えて電話は終了しました。

 翌日、1120()「動物取扱責任者事前研修申込書の送付」という件名の公文書が郵送されてきました。予定している屋号などを決めなければならなかったり、ちょうど連休があったりしたので、申込書の送付は週明けにすることにしました。

さて、週明けの1124()(前日は祝日)、「動物取扱責任者事前研修申込書」をFAXで送りました。

(次回に続きます。)

2015年12月26日土曜日

第一種動物取扱責任者研修申込から登録まで(1)

20151223日付け記事のとおり、アーバンひだまりを、同日、開設しました。アーバンひだまりは、第一種動物取扱業〔種別:保管〕のペットシッターの事業となります。

 今回から3回にわたり、アーバンひだまり開設までにどのような手続を踏んだか、ご紹介と解説をしたいと思います。なお、このサイトでのご紹介は、東京都における手続の場合となります。他の道府県での手続については、以下のご紹介と若干異なることがあります。

 まず、手続を行うに当たって、東京都動物愛護相談センターのウェブサイトを閲覧し、じゅうぶんに確認します。もし、閲覧してもよくわからなかったときは、東京都動物愛護相談センターに直接問い合わせるか、動物関係法令に明るい行政書士事務所に相談するのがよいでしょう。

 動物取扱業には、第一種と第二種とがあります。第二種は、動物の譲渡、保管、貸出し、訓練、展示を非営利の業として行う者であり、たとえば、動物愛護団体の動物シェルター、公園等での非営利の展示などがこれに当たります。これ以外の営利性を有する場合は、すべて第一種動物取扱業となります。「アーバンひだまり」は、危機予防(予防法務)のうち、ペットと暮らす世帯の「見守り」に必要なペットシッティングを補完すべく計画していましたので、以下は第一種動物取扱業について述べます。

 第一種動物取扱業の登録申請を東京都知事に対して行う前提として、事業所ごとに動物取扱責任者を置く必要があります。動物取扱責任者となるには、動物取扱責任者事前研修を受け、修了しなければなりません。
 ただし、動物取扱責任者事前研修を受けようとする者(または、経営者が研修を受けさせようとする職員)が、次の受講資格を有していることが必要です。
(1) 登録のある事業所で実務経験が6か月以上あること、または、
(2) 学校その他の教育機関(犬の訓練学校、動物のトリマー養成学校、獣医師、高校(畜産科)など)を卒業していること、または、
(3) 環境省が認める、公平性・専門性を持った団体が行う試験によって、知識及び技術を習得していることの次の証明(資格)を得ていること(一例)。
 ・愛玩動物飼養管理士(1級、2級)〔公益社団法人日本愛玩動物協会〕
 ・公認訓練士〔公益社団法人日本警察犬協会〕
 ・実験動物技術者(2級)〔公益社団法人日本実験動物協会〕
 ・動物看護士(3級)〔公益社団法人日本動物病院福祉協会〕
 ・JAHA認定家庭犬しつけインストラクター〔公益社団法人日本動物病院福祉協会〕
 ・家庭動物管理士〔一般社団法人全国ペット協会〕
 ・愛犬飼育管理士〔一般社団法人ジャパンケネルクラブ〕
 ・公認訓練士〔一般社団法人ジャパンケネルクラブ〕
 ・家庭犬訓練士(初級、中級、上級、教師)〔一般社団法人全日本動物専門教育協会〕
 ・動物介在福祉士(初級、中級、上級、教師)〔一般社団法人全日本動物専門教育協会〕
 ・動物看護師(初級、中級、上級、教師)〔一般社団法人全日本動物専門教育協会〕
 ・トリマー(初級、中級、上級、教師)〔一般社団法人全日本動物専門教育協会〕
 ・グッドシチズンテスト(Good Citizen Test)〔一般社団法人優良家庭犬普及協会〕
 ・ペットシッター士〔特定非営利活動法人日本ペットシッター協会〕
 ・小動物飼養販売管理士〔協同組合ペット・サービスグループ〕
 ・認定ペットシッター〔ビジネス教育連盟ペットシッタースクール〕

 わたくしは、一級愛玩動物飼養管理士とペットシッター士の資格を有していることから、「(3) 環境省が認める、公平性・専門性を持った団体が行う試験によって、知識及び技術を習得していることの証明(資格)を得ていること」が適用されます。

(次回に続きます。)

2015年12月25日金曜日

大学と民間等との共同研究制度の沿革(5)

 20151225日の記事「大学と民間等との共同研究制度の沿革(4)」の続きです。

画像は、共同研究契約書の記事の執筆に関連してまとめた1946(昭和21)年から2011(平成23)年までの我が国のトピックと文部省の政策の一環で措置された国立大学の地域共同研究センター及び研究協力担当課の設置の状況をまとめた表です。

 この表では、国の政策では、共同研究センターの設置が先行し、事務局組織(文部省の地方支分部局)としての研究協力担当課の設置の順となっていることを示しています。共同研究センターに配置されているのは、専任教員と兼任教員であり、研究協力担当課については、常勤の文部事務官です。行政管理の側面からは、教員のほうが配置しやすい半面、事務官については、「定員」という枠の制限があり、新たな組織の増設は制限されていました(行政官の人数が増えるため)。

 また、高度経済成長期が終わり、大学と民間等との共同研究制度が創設され、バブル期の始まり直後に国立大学への地域共同研究センター整備が開始されます。バブル期が終息していくにつれて我が国の経済は下降へと転じ、科学技術基本法制定への機運が高まります。そして、地域共同研究センターの整備が進むにつれて、研究協力担当課の設置も進んでいくことになり、今日に至ります。

 いざなみ景気期は、好況感のうすい、ゆるやかな経済成長にとどまり、2008(平成20)年には景気が失速し始めており、政府はいくつかの打開策を打ち出しますが、そのうち産学官連携関係の施策としては、2010(平成22)年の補正予算措置「地域産学官共同研究拠点整備事業」があります。この事業はゴールデンウィークを挟んでその一部が公表されたものの、具体案が判明したのは、夏を迎えるころでした。その内容は、地域の産学官共同研究に資する共同研究拠点を整備するために、建屋整備と研究支援員等雇用のための経費を支援するというもので、基本的に雇用拡大を下支えしようと企図したものでした。しかし公募実施直前に、これを企画した政権が下野したことにより、補正予算は大幅に減額され、景気浮揚につなげるまでには至りませんでした。

 このように、産学官連携諸施策は我が国の経済情勢と密接に関わりながら展開しています。産学官連携に係る実務も、大学と民間等との共同研究制度が発足した1983(昭和58)年と比べると、格段に業務量が増え、また、高度な専門性をもたなければ職務を全うすることが困難になってきました。この業務に携わる者の雇用形態やキャリアパスなど、解決しなければならない課題も増えてきているように感じています。

大学と民間等との共同研究制度の沿革(4)

 20151225日の記事「大学と民間等との共同研究制度の沿革(3)」の続きです。

 さて、20151224日の記事「大学と民間等との共同研究制度の沿革(1)」に掲載した共同研究契約書様式参考例の抜粋に戻りましょう。
 向かって左側が初期の共同研究契約書様式参考例で、改訂版と比較するととてもシンプルです。2001年から2004年ごろまで、わたくしはこの様式を実務で参考にしていたと記憶しています。向かって右側が改訂版で、2002年ごろから2004年にかけて(国立大学の法人化前に)改訂されたものと思われます。なぜ2002年かと申しますと、200110月に刊行された『大学と産業界との研究協力事務必携』第四次改訂版には、この改訂版の様式参考例は掲載されていないからです。

 2001年に至るまでに我が国では何が起こっていたか。1998(平成10)年に研究交流促進法、大学等技術移転促進法(TLO(技術移転機関)の整備促進)が、1999(平成11)年に産業活力再生特別措置法(日本版バイ・ドール条項)が、2000(平成12)年に産業技術力強化法が制定されていました。1999(平成11)年の産業活力再生特別措置法第30条がバイ・ドール条項であり、国の委託研究において国に譲渡することとされている知的財産権の内容を踏まえ、受託者に帰属させ得る知的財産権を所掌する法律、すなわち特許法、実用新案法、意匠法、著作権法、半導体集積回路の回路配置に関する法律、及び種苗法が具体的に明記されています。

新たに法制度を整備する場合、関係する各省庁では協議の場を何度も設けて議論を繰り返します。これを各省協議といったりします。共同研究において、(1)大学と企業の間、(2)大学と大学の間、(3)企業と企業の間、を問わず、知的財産権がとても重要なことと認識されてきたことになります。したがって、共同研究契約書様式参考例においても、これらのことがら(定義を含めて。)が盛り込まれたものと考えられます。

 このようにして共同研究にまつわる当時の社会情勢や立法の過程を振り返ってみると、改訂版共同研究契約書参考様式の内容の理解も以前におそらく感じた難解さや困難さが緩和され、より抵抗少なく、実際の共同研究契約書作成にも活かすことができることでしょう。

大学と民間等との共同研究制度の沿革(3)

 20151225日の記事「大学と民間等との共同研究制度の沿革(2)」の続きです。

1995(平成7)年制定の科学技術基本法に基づき、翌1996(平成8)年、科学技術基本計画(1)が制定されました。
1期科学技術基本計画中には、1998(平成10)年に研究交流促進法、大学等技術移転促進法(TLO(技術移転機関)の整備促進)が、1999(平成11)年に産業活力再生特別措置法(日本版バイ・ドール条項)が、2000(平成12)年に産業技術力強化法が、矢継ぎ早に制定されていきました。

米国では、1970年代後半の米国経済の国際競争力低下を背景として、1980年に、政府資金による研究開発から生じた発明についてその事業化の促進を図るため、政府資金による研究開発から生じた特許権等を民間企業等に帰属させることを骨子としたバイ・ドール法(特許法の一部改正法)が制定されました。これにより企業等による技術開発が加速され、新たなベンチャー企業が生まれるなど、米国産業が競争力を取り戻す契機となりました。

我が国は、米国バイ・ドール法を参考に、政府資金による委託研究開発から派生した特許権等を民間企業等に帰属させることで、政府資金による民間企業や大学での研究開発及びその実施化を活性化させ、これらを用いた新しい商品の生産・販売、新しい役務の提供、新しい生産方式等の導入、新たな事業分野の開拓につなげるための法整備を試みました。


日本版バイ・ドール条項は産業活力再生特別措置法第30条に盛り込まれ(20078月から産業技術力強化法へ移管)、政令において、研究活動の活性化と事業活動におけるその成果の効率的な活用の促進を図るという本条項の目的、及び、実際の国の委託研究において国に譲渡することとされている知的財産権の内容を踏まえ、受託者に帰属させ得る知的財産権として、特許権・特許を受ける権利(特許法)、実用新案権・実用新案登録を受ける権利(実用新案法)、意匠権・意匠登録を受ける権利(意匠法)、プログラムの著作物の著作権・データベースの著作物の著作権(著作権法)、回路配置利用権・回路配置利用権の設定の登録を受ける権利(半導体集積回路の回路配置に関する法律)、育成者権(種苗法)を明記するに至りました。